2025.03.12 業界動向

加盟店が知るべきポイント !EMV 3Dセキュア導入の課題とリスク

EMV 3Dセキュア導入に潜む課題とは?決済承認率への影響

こんにちは、YTGATE代表の高橋です。オンライン決済の安全性向上のために、多くの加盟店が「EMV 3Dセキュア」の導入を進めていると思います。しかし、導入にあたっては多くの課題やリスクも伴います。特に、決済承認率への影響やパフォーマンスの見える化は、加盟店のビジネスに大きく関わる重要なポイントです。この記事では、業界外の方でも理解しやすい言葉で、EMV 3Dセキュア導入の課題、リスク、そしてそれを克服するための方法について解説していきます。

1. そもそもEMV 3Dセキュアとは?

EMV 3Dセキュアは、オンライン決済時の本人確認を強化するための仕組みです。簡単に言えば、カード情報の盗用やなりすま しを防ぐために、カード所有者本人であることを追加で確認(認証)する仕組みです。

EMV 3Dセキュアの流れ

  • ① 顧客がクレジットカード決済を選択
  • ② イシュア(カード発行会社)がリスク判定
  • ③ 低リスク:追加認証なし(フリクションレス)
  • ④ 高リスク:追加認証あり(ワンタイムパスワード、顔認証など)
  • ⑤ 本人認証が完了すると決済承認へ進む

2. 加盟店が直面するEMV 3Dセキュア導入の課題

決済承認率が低下する可能性

最大の課題は、3Dセキュア適用によって決済承認率が下がるリスクがあることです。

これは、次のような理由で発生します。

  • (ア) 顧客の離脱
    3Dセキュアで追加認証が必要になったとき、一部の顧客は認証手続きが面倒で決済をやめてしまいます。
  • (イ) 技術的なトラブル
    3Dセキュアの認証システムがスムーズに動作しない場合、決済が途中で止まり、顧客が購入を諦めることも。
  • (ウ) イシュア側の決済承認基準が変わる
    3Dセキュアが適用された取引は、イシュアがより厳しいリスク判定を行うため、決済承認率が変化することがあります。

決済承認率が見えにくい

加盟店が最も苦労するのが、3Dセキュア導入後の決済承認率の変化を正しく把握できないことです。

  • (ア) 「なぜ決済が拒否されたのか」が不明瞭
    決済承認拒否の理由がイシュア側の判定なのか、3Dセキュアの影響なのか、明確に把握できないケースが多い。
  • (イ) データがリアルタイムで見えない
    どの国やどのカードブランド、どの発行会社のカードで決済承認率が下がっているのか、細かい分析ができないと対策が難しくなる。
  • (ウ) ECサイトの売上に影響
    3Dセキュアの導入でオーソリ率が下がると、「決済できない→カート放棄→売上減少」 という悪循環が起こり得る。

加盟店の運用負担が増える

3Dセキュア導入後、加盟店には以下のような負担が増える可能性があります。

  • (ア) カスタマーサポートの問い合わせ増加
    「カードが使えない」「認証が通らない」といった問い合わせが増加し、サポートチームの負担が増える。
  • (イ) システムのメンテナンスが必要
    3Dセキュアの設定や認証フローの改善を定期的に行う必要がある。

3. どうすれば3Dセキュア導入のリスクを抑えられるのか?

決済承認率の変化を可視化する

3Dセキュア導入後に「何が原因で承認率が下がっているのか」を明確にするために、以下のデータをリアルタイムで可視化することが重要です。

  • (ア) 3Dセキュア適用前後の決済承認率の比較
  • (イ) 国・地域別の決済承認率の変化
  • (ウ) カードブランド別、カード発行会社別の決済承認率の変化
  • (エ) 3Dセキュアの追加認証が発生した割合
  • (オ) 承認されなかった決済の理由(リスク判定・技術的エラー・顧客の離脱など)

これをダッシュボードやレポートでリアルタイムに確認できる環境を整えることで、問題点を早期に特定し、対応策を講じることが可能になります。

4. まとめ

EMV 3Dセキュアは不正利用防止に効果的ですが、加盟店にとっては決済承認率低下や運用コストも含めた負担の増加といったリスクがあるのも事実です。そのため、単に導入するだけでなく、決済承認のパフォーマンスを見える化し、適切な改善策を講じることが重要です。特に、3Dセキュア導入前後で決済承認率のデータを比較し、どの要素が影響しているのかを分析することが、成功の鍵になります。YTGATEでは、こうした決済の最適化を支援するソリューションを提供しています。「3Dセキュアを導入したいけど、売上への影響が不安」という方は、ぜひご相談ください。