2025.10.14 業界動向

後払い決済に潜む詐欺の手口とその対策

ECとサブスクリプションの不正リスクを未然に防ぐための効果的な対応方法

ECやサブスクリプションの普及に伴い、利便性の高い「後払い決済」を利用する消費者は年々増えています。手元に現金やクレジット枠がなくても商品を購入できる利便性から、幅広い層に受け入れられている一方で、この仕組みを悪用する詐欺も巧妙化しています。非対面取引であるがゆえに本人確認が難しく、実在する消費者を装った不正利用が発生しやすい構造にあることが背景です。

本記事では、後払い決済に潜む詐欺の手口やその対策について詳しく解説します。

後払い利用後に支払い逃れをする、「取り込み詐欺」とは

EC不正の典型例として知られるのが「取り込み詐欺」です。注文時に後払いを選択し、商品を受け取った後に代金を支払わず逃げるという手法で、後払いの「先に商品が届く」という仕組みを逆手に取った不正行為です。

この手口は、一度の被害額が小さくても繰り返されることで累積損失につながりやすく、特に高額商品や転売需要のある商材を狙った場合には事業者の直接的な損失が非常に大きくなります。また、発覚するのは支払いがされなかったという事後の段階であるため、発見が遅れやすく、被害拡大や不良債権化につながりやすい点も特徴です。

さらに、後払い決済は消費者の利便性を高める重要な手段であるがゆえに、事業者側が本人確認を過度に強化すると「正規の顧客体験を損なう」というジレンマも存在します。つまり、利便性と不正防止のバランスをどう取るかが、取り込み詐欺対策の難しさといえます。うした取り込み詐欺に近い手口は、実際のサービスでも確認されています。

複数アカウントやなりすましによる不正利用

ある食品宅配サービスでは、過去に約10万件以上のアカウントが不正アクセスの危険にさらされた事例があります。不正ログインやアカウントのなりすましに加え、同一ユーザーが異なるメールアドレスを使用して複数のアカウントを作成し、不正に割引クーポンや初回特典を繰り返し受け取るケースも確認されています。

このような不正取得は一見小規模に見えるかもしれませんが、累積的には売上損失やキャンペーン費用の無駄遣いを招くことになります。さらに、不正利用によって顧客データベースの正確性が損なわれ、データ管理の信頼性も低下します。これにより、企業は財務的なリスクだけでなく、顧客の信頼を失う重大な影響を受けることになります。

レンタルサブスクにおける未返却リスク

ファッションレンタルサービスでは、不正利用を防止するための取り組みが強化されています。その背景には、後払いを悪用し、身分を偽って会員登録を行い、商品を借りたまま返却も支払いも行わないといった不正行為が横行していたことがあります。

こうした不正利用は、サービス提供者にとって単なる商品の原価損失にとどまらず、転売や不正流通に繋がるリスクも抱えています。加えて、未返却の商品回収やクレーム対応に必要な人員を割かなければならず、その結果、事業の運営において健全な運営が難しくなる可能性もあります。このような不正行為は、企業の収益性やブランドの信頼性を著しく損なう深刻な問題です。

覚えのない後払い請求

国民生活センターが公開した事例では、通販で購入した覚えのない商品代金が後払い決済サービスを通じて請求される不正行為が報告されています。(※)

ある消費者は、後払い決済事業者から「決済承認」のSMSを複数回受け取る中で、合計約34,000円相当の商品が不正に注文されたことが判明しました。注文確定メールや購入履歴は一切存在せず、配送先も被害者とは無関係の遠隔地に設定されていたという点が特徴です。さらに、決済事業者からは「支払いを怠れば弁護士から請求する」との通知があり、消費者は対応が進まず、最終的には消費生活センターに相談せざるを得ない状況に追い込まれました。このような「身に覚えのない請求」は、事後にしか発覚しない典型的なケースであり、事業者と消費者双方に大きな不安とリスクをもたらします。

 

※ 国民生活センター 増加し続ける後払い決済サービスが関連する消費者トラブル(令和7年7月2日発表)

不正利用を未然に防ぐための効果的対策

これまでの事例が示すように、多くの不正行為は「未入金」や「未返却」といった事後段階で発覚します。つまり、被害が確定した後にしか対応できず、その時点で損失やブランド毀損、さらに対応コストが膨れ上がるという課題があります。このような事後対応では、被害が拡大してしまうリスクが大きいため、未然に防ぐための体制が欠かせません。

不正を未然に防ぐためには、取引発生時に不審なパターンをリアルタイムで検知し、即座に不正を遮断できる仕組みが必要です。正規のユーザー体験を守りつつ、不正のみを排除することが理想的です。

こうした課題に対し、YTGATEが提供する「YTGuard」は、不正対策と決済承認率の改善を一体でサポートするツールとして設計されています。以下の特徴により、より効率的かつ効果的な不正対策が実現できます。

  • リアルタイム検知

EC事業者全体で取引データを収集・分析し、同一人物による複数アカウントの作成や不自然な後払い利用などを即時に検出します。これにより、即座に不正行為を防止でき、損害を最小化します。
 

  • 取引データの一元管理

不正兆候の早期発見に加え、後続の調査や警察対応に必要な証跡を整備することが可能です。これにより、発覚後の対応もスムーズに行え、迅速な対応ができます。
 

  • チャージバック抑止

不正取引が確定する前に遮断することで、チャージバックや債権不良化を未然に防ぐことができます。これにより、事後の金銭的損失や事務手続きにかかるコストも削減できます。
 

  • 導入の容易さ

YTGuardは、タグを埋め込むだけで簡単に導入でき、初期費用も不要で、短期間での導入が可能です。手軽に開始でき、早期の効果を期待できます。

不正行為は、企業にとって財務的な損失だけでなく、信頼性の低下やブランド毀損といった深刻な影響を及ぼします。一時的な施策ではなく、持続的に運用できる体制こそが被害を最小化し、顧客との信頼関係を守る鍵となります。

YTGuardは、そのための有力なソリューションとして、企業の不正対策強化に貢献します。企業が抱える不正リスクを未然に防ぐためには、早期の検知と迅速な対応が不可欠です。常に進化する不正の手口に対して、確実な防御策を講じることが、顧客の信頼を守り、企業の成長を支えるための最も重要な鍵です。今こそ、その一歩を踏み出し、強固な不正対策を構築しましょう。