2025.12.05 YTGATEのストーリー

EC決済の“見えない壁”を壊す。YTGATE代表・高橋祐太郎の挑戦

決済承認率の改善で売上を最大化する、新たな戦略と未来図

YTGATEを率いる高橋祐太郎 代表取締役。決済承認率改善という、EC業界でもまだ認知度の低い専門領域に挑み、事業を成長させています。なぜこのテーマを選び、どんな想いで事業を築いてきたのかそしてその先に描く未来とは――挑戦の全貌に迫ります。 

決済承認率改善でECの未来を切り開く

―― まずは、YTGATEの事業内容を簡単に教えてください。 

高橋:YTGATEは、不正利用の検知やカード会社との対話を通じて「決済承認率の改善」を行っています。具体的には、EC事業者(加盟店)の決済がスムーズに通るようサポートし、その結果として売上向上を実現します。決済が通りやすくなることで購入体験が向上し、最終的にECサイトのコンバージョンレート(CVR)の向上につながります。

 

―― 決済がスムーズに通らない背景には、どんな要因がありますか?

高橋:複数の要因があります。多くの方は「与信枠があれば100%通る」と考えがちですが、実際には80%や50%しか通らないケースも珍しくありません。これは与信枠の問題ではなく、カード会社やユーザー側の事情、さらには業界特有の要因が絡んでいます。

まず、カード会社側の要因として、不正利用が多発するとリスク回避のためにカードを通すかどうかを審査する「承認基準」を厳しくすることがあります。安全性を優先した結果、正当な取引まで弾かれてしまうことがあるのです。

次に、ユーザー側の要因として、カード情報の入力ミスや、途中で購入を諦めることが挙げられます。特に最近は、本人認証の強化として「3Dセキュア」が義務化され、これが新たなハードルとなっています。認証画面で不安を感じたり、手間を嫌って購入を諦めたりする人が増えている状況です。

さらに、業界特有の要因も影響します。例えば、特定の商品やサービスを扱う業種では、リスク管理が厳しく、決済が通りにくくなることがあります。これらの要因が複合的に作用し、決済が承認されないことがあるのです。

―― 決済承認率の改善はどのように行っているのでしょうか?

高橋:課題や状況に応じて、最適な方法を選択しています。何よりもまずは現状の可視化と課題の把握が重要であり、弊社ではこの可視化を「健康診断」と呼び、ご支援の第1ステップとしています。その後、クライアントの課題に応じて、弊社SaaSであるYTGuardを活用したご支援や、弊社だけでは足りない部分に関しては他社ソリューションも含めた最適な提案を行っております。例えば、UI改善でユーザーが迷わず決済できる導線を整えたり、カード会社と対話して正しい取引が承認されやすい環境をつくることもあります。特にカード会社との連携は難易度が高く、私たちの強みが発揮される領域です。

SaaSソリューション「YTGuard」を活用する場合もあります。「健康診断(可視化)」「モニタリング」「決済かご落ち防止」「不正対策」といったソリューションをワンストップでご提供しており、初期コストや開発は不要、各種設定やスクリプトタグを埋め込むだけで導入できるため、業種業態規模を問わず、すぐ利用開始できる点が特徴です。今後は承認率改善機能も追加し、より包括的な支援を目指していく予定です。

 

―― このアプローチによって得られるメリットとして、先ほど、 ECサイトのCVR向上につながると仰っていましたね。

高橋:そうですね。承認率が改善することで、EC事業者CVR向上やCPACACの低減が期待でき、最終的に売上の増加につながります。さらに、広告費や「決済が通らない」というクレーム対応、SNSでの炎上対策にかかるコストも削減できるなど、EC事業者における経営上の主要KPI改善に貢献します。

また、 EC事業者の取扱高が増えることで、決済代行会社やカード会社は手数料や処理料の収益が拡大します。そして、ユーザーにとっては、決済がスムーズに通ることでストレスが減り、快適な購入体験を提供できるようになります。このように、すべての関係者にとってメリットがあり、全体的な効率と満足度が向上します。私たちはこれを「なめらかな決済」と呼んでおり、推進しています。

 

―― 「なめらかな決済」を実現したお客様から寄せられた声を教えてください。

高橋:導入後のお客様からは、特に「決済が通りやすくなったことで売上が増加した」という声を多くいただいています。最初は、決済が通らないことに対して気づいていない企業様も多かったのですが、実際に改善を進めた結果、「決済が通っていないとはこういうことなのか」という驚きの声が上がっています。

また、ある大手EC事業者様は、収益面でのインパクトを確認し、「こんなに機会損失があったのか」と再び驚かれることも少なくありません。そして、そのロスを改善した結果、「どれだけ売上が失われていたかが見えるようになり、改善効果を実感できた」「顧客体験が良くなった」といった喜びの声につながっています。

日本の存在感を取り戻すため、起業を決意

―― 高橋さんは、なぜ起業しようと考えたんですか?

高橋:前職で、尊敬する経営者に「このままでは日本は世界で注目されない国になってしまう。それでいいのか?」と問われたことが、私にとって大きな転機でした。イギリスやアメリカなど海外で生活した経験を通して、「やっぱり日本は本当に素晴らしい国だな。」と自分の中のどこかで誇らしく感じていましたが、自分たちや、子ども孫の時代にはその存在感が失われ、どこからも注目されなくなってしまうかもしれないという未来を想像すると、心の底から悲しい気持ちになりました

これから数十年に渡り一生懸命、社会人として働くのであれば、「自分の幸せ」という内的な目的だけではなく、対外的な目的を明確にして歩みたいと考え、そして私にとってそれは「日本のプレゼンスを向上させる」という言葉で表現されることになり、この想いを胸に社会人としてのスタートを切りました。これだけ大きなことを成すには、一人の力では限界があるということは理解していたので、将来は組織のリーダーとして集の力でこれを実現してく必要がある、「いつかは社長になろう」と、安直ながら考えていました。その思いは薄れることなく前職での10年を過ごし、様々なきっかけ、運と縁に恵まれ、起業の一歩を踏み出すことができました。

 

―― 「なめらかな決済を実現する」というテーマを選んだ理由は?

高橋:日本のプレゼンスを向上させるためには、より大きなインパクトを生む領域を選ぶ必要があると考えました。決済はすべての商取引の最後に必ず存在し、市場規模も非常に大きく、スケールしやすい分野です。 

私は約10年間、決済代行会社の営業を担当し、大手加盟店の取引において不正利用が多発する現場を経験してきました。取引量が膨大なため、不正率は低くても絶対数は多くなります。その結果、カード会社から見ると「不正が多い」と映り、リスク回避のために厳しい運用や追加処理が頻発しました。時には「一旦取引を止めてください」という要請が出ることもあり、正常な取引まで影響を受ける事態が起きていました。

こうした対応の背景には、業界に紙やエクセル、FAXなどのレガシーな運用が残っていることが一因として存在します。情報共有が遅れるため、加盟店・決済代行会社・カード会社それぞれが局所的な対応にとどまり、横断的な取り組みができません。業界全体を横ぐしで「不正対策」「運用の最適化」「承認率改善」に向けた取り組みを主導する存在が不足している状況を目の当たりにし、「これを何とかしなければ」と強く思ったことが、現在の事業を始めるきっかけになりました。

 

―― 事業を始める際に、山本泰大取締役と共同創業することになった経緯を教えてください。

高橋:山本と出会ったのは、大学4年生で前職のインターンをしていたとき。営業同行で彼が社長を務める会社を訪れたのがきっかけでした。その後、年に数回食事をする関係が続き、親交を深める中で、同世代ながら複数の会社を経営し、「日本に資する」という志を掲げ、具体的な貢献を生み出す姿に強い憧れと関心を抱くようになりました。

起業を決めた際には事業案についても相談させてもらい、議論を重ねる中で、「せっかくなら一緒にやりたい」と考え、私から共同創業を持ちかけたという経緯です。

志を胸に、スピードで成功をつかむ

―― 会社を運営するうえで、どんなことを大切にしていますか?

高橋:二つあります。一つは「志」、もう一つは「スピード」です。「日本のプレゼンスを向上させる」という大きな志は、譲れない軸です。会社の器を決める一つの要素はどれだけ大きなことをやりたいかであると考えています。

そしてスピード。AIが台頭し、技術やビジネスの変化は加速しています。この流れを無視してゆっくり進んでいては勝てません。もともと決済やECなど、フィンテック領域はスピードが求められる世界です。環境が急激に変わる中で、対応が遅れれば淘汰されます。

この「志」と「スピード」を組織の文化として根付かせることが重要です。そのために、週1回の全体定例会で繰り返し発信しています。また会社のVALUE(行動指針)にもスピードについて最初に明記し、意識づけを徹底。苦しい時でも「なぜやるのか」を思い出せるよう、理念を共有しています。

 

―― 業務を進める中で大変なことはありましたか?

高橋:一番苦労したのは、価値を理解してもらうことです。承認率改善というニッチな領域で、概念自体を知らない方が多く、営業しても「何のこと?」という反応ばかりでした。私たちは革新的だと信じて提案していたものの、認識のギャップが大きく、事業計画通りに進まないことも多かったです。イベントや広告など、さまざまな施策を試しましたが、賛同を得るまでには時間がかかりました。

 

―― 大変な中でも進み続けられているモチベーションは何ですか?

高橋:一番の原動力は、起業前から持ち続けている「日本のプレゼンスを向上させる」という志、そして「決済を最適化し、世界をつなぐ」というミッションの先に思い描いているYTGATEの具体的な未来の姿です。この志とビジョンを実現するためのプロダクトや事業構想も具体的に描けていて、「こうすれば実現できる」という道筋が見えていることが強い動機になっています。

さらに、創業時に山本と交わした「短期間で大きな事業をつくる」という約束も大きな支えです。規模を落とす、スピードを緩めるという選択肢はありません。

そして、社員の存在も欠かせない支えです。私は四人兄弟の長男で、子どもの頃から背中を見せる立場でした。その経験がリーダーシップの原点です。今、会社には次男と三男も在籍しています。もちろん弟たちの存在も心強いですが、社員一人ひとりが私たち創業メンバーの想いに共感し、同じ船に乗ってくれた大切な仲間です。組織の長として責任ある姿を示し続けていきます。

世界をつなぎ、新しい価値を創る企業へ

―― 今後の展望について教えてください。

高橋:私たちは「決済を最適化し、世界をつなぐ」という明確なビジョンを掲げています。普通なら難しいと思われることでも、実現できると信じていますし、その未来を想像することが一番ワクワクします。達成に向けて、まずはプロダクトを普及させ、多くの人に使ってもらうことが最大の目標です。

さらに、日本国内にとどまらず、グローバル展開も視野に入れています。決済の課題は世界共通。私たちの事業はどこでも通用します。特に、日本市場は独自の環境があり、海外企業にとって決済の承認率改善が難しい領域です。そこで、海外の加盟店と日本をつなぐ窓口になり、決済の承認率を高めることで、日本のプレゼンスを世界に示していきたいと考えています。

 

―― 最後に、YTGATEへの入社や協業を検討している方にメッセージをお願いします。

高橋:私が最も影響を受けた本は、デール・カーネギーの『道は開ける』です。尊敬する父に勧められて学生時代に読みました。この本は、自分と向き合い、内面を整えることの大切さを教えてくれます。内面を整えるとは、迷いや不安に流されず、自分の軸を明確にすること。仕事でも同じで、困難を乗り越えるには「なぜこの道を選ぶのか」という軸が不可欠です。

私たちの挑戦は、「決済を最適化し、世界をつなぐ」こと、そして「日本のプレゼンスを向上させる」ことです。簡単な道ではありませんが、志を持って歩み続ける人となら、必ず価値を生み出せると信じています。もしこのビジョンに共感し、一緒に未来を切り開きたいと思う方は、ぜひ仲間になってください。志ある方と挑戦できることを楽しみにしています。

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