2025.11.05 業界動向

2026年に向けてEC担当者が知っておくべき、売上・利益を改善する最新メソッド5選

〜LLMO、決済承認率、AI活用などをご紹介〜

EC事業を運営していると、「もっと売上を伸ばしたい」「利益率を改善したい」と日々感じている方は多いはずです。しかし、広告費を増やす、商品数を拡大する──といった従来型の施策では限界があります。AIやデータ活用の進化により、“売上を伸ばす方法”そのものが大きく変わりつつあるのです。

 

本記事では、EC事業者やマーケターが知っておくべき、「ECの売上向上」「CVR改善」「生成AIの活用」「SEO×LLMO最適化」「AIパーソナライズ」といった最新トレンドと実際のサービスをまとめてご紹介します。EC運用のプロでも一部しか知らない、“5つの最新メソッド”を押さえて、EC運営を一歩先へ進めましょう

最新メソッド1:生成AI×LLMOで「検索されるECサイト」から「会話に登場するECサイト」へ

いま、Googleの生成AI検索(SGE)やChatGPTのような会話型検索が急速に普及しています。これまでのSEO(Search Engine Optimization)に加えて、「LLMO(Large Language Model Optimization)」=生成AI時代の新しい最適化手法が注目されています。 

たとえばツールとして「LLMO Metrics」などが登場しており、AIモデルがユーザーの問いに答える際にブランドや商品が適切に引用・提案されるよう最適化を行うことが求められています。 ECの文脈で重要なのは、単にサイトへのアクセス数を増やすことではなく「AIチャット経由であなたの商品が答えとして提示される状態」をつくること。これにより非クリック型検索(ゼロクリック)や会話型インターフェースからの流入を取り込むことが可能になり、結果として「EC 売上」「EC 利益」の観点で新たな入口を創出できるのです。 

具体的には、「ブランド名や商品名をLLMトピックとして構造化し、AIの回答候補に入るよう内部コンテンツを最適化」「FAQやチャットボット回答、ブログ構成を『質問→答え』の形で整備」「LLMOツールで自社ブランドのAI回答登場率をモニターし、改善ポイントを可視化」などの活用が可能です。 

このように、LLMOによって “未来検索”の変化を見据えた仕掛けをECサイトに組み込むことで、従来のSEOが届きにくい領域でも売上・利益を改善できます。 

最新メソッド2:CVR改善は決済落ちの鍵?!決済承認率を改善して“消えた売上”を取り戻す

最後の最後、購入ボタンを押した後で起こる悲劇。それが決済落ちです。なぜか決済ができず購入を断念してしまうというEC体験は意外と多く、“見えない損失”を抱えるECサイトは少なくありません。

こうした決済落ちの原因となり、多くの事業者が見落としているのが「決済承認率」です。決済承認率とは、「購入・支払いをするために、カード決済リクエストを行った際に、実際に決済承認(取引成立)となる割合」のこと。国内の調査では、約3割のECユーザーが「決済が通らなかった経験がある」となっており、各業界で異なるものの平均的な決済承認率は83%程度にとどまっています。つまり5回に1回は決済に失敗するのが現状なのです。

実店舗でのショッピングシーンでイメージしてください。お客様が購入しようと財布を出して、なんならお金まで渡そうとしているタイミングで、「レジが故障しているので、やっぱりお売りできません。」というようなもの。購買意欲が最も高く、購入へのワクワク感も最高潮のタイミングで、究極のガッカリ感が待ち構えているのが、この決済落ち。実店舗で想像すると異常なこの状況が、ECでは放置されてしまっているのです。

そしてこうした課題に取り組んでいるのがYTGATEです。決済承認率の低下の原因は、過去に未払いがあったなどのユーザー側に問題がある場合もありますが、実はカード会社が不正利用のリスクを考慮して一定の割合で非承認とする場合もあるのです。特に昨今は不正利用も増えてきており、高額な商品だったり時間帯だったりで、カード会社側の事情で決済落ちするケースが増えてきています。そこでYTGATEは決済状況を分析し、その状況をもとにカード会社と交渉することで、決済承認率を改善しているのです。ある旅行代理店では決済承認率が40%も改善し年間で数億円の売上改善となったり、アパレル企業も約20%の改善で年間数千万のインパクトがありました。 「EC 売上を伸ばす」ためにまずやるべきは、新規顧客の獲得よりも“失われている売上”を救うことではないでしょうか? 

 

※ YTGATEサイト:https://ytgate.jp/news/info/20250904-001/

最新メソッド3:次世代のAIエージェント搭載CRMツールで、本当のパーソナライズ化が実現可能に

大手のECサイト向けの施策になってしまいますが、もしファーストパーティデータをきちんと整備して保持しているのであれば、今注目すべきCRMツールが「Auxia(オクシア)※」です。まだまだ多くのCRMツールは自分たちでシナリオを組み、一つ一つPDCAを回しながら日々の施策をより良いものにしなければなりません。ただそれだとブランド数、商品数が多くなればなるほど検討すべき事項が増えていき、手が回らない状況になってしまいます。さらには、SQLの知識が必要だったり、利用経験のある担当者を雇用する必要があるなど、運用体制の構築もネックとなっています。そのため、実際に多くのEC事業者は、広告やメールを一斉配信・セグメント配信で終えてしまっているのです。理想だとわかってはいるけれども実現できていない「一人ひとりに合わせた体験設計」つまり「パーソナライズ化」。これを実現できる可能性があるのがAuxiaなのです。

Auxia2022年にアメリカで創業された企業で、そのサービスは、ファーストパーティーデータをシームレスに接続し、AIエージェントがリアルタイムで最適な顧客体験を設計・配信するCRMツールです。たとえば「件数の多いユーザー/少ないユーザーを超えて、個別ユーザーの行動・嗜好に応じたメッセージを自動で決定」「メール、アプリ、Web プッシュなど複数チャネルを横断して“次に送るべき最適チャネル”を確定」「購入促進、クロスセル、リピート誘導といった目標に対し、個別ユーザーの重みづけや配信頻度を設定可能」など様々なことが可能で、それがAIによって自動で行われるのです。

つまりAuxiaの凄さは、AIが“指示待ち”ではなく、自ら学習し、提案・実行を繰り返す点にあります。 まるで優秀なマーケターが24時間休まずサイト全体を監視し、ユーザー一人ひとりに最適なタイミングで声をかけてくれるような存在なのです。「EC 売上を伸ばす」ために広告を増やす前に、 まずは“今いる顧客の購買意欲を最大化する”こと。 それを実現するのが、AuxiaによるAIパーソナライズの力なのです。

 

※ Auxiaサイト:https://www.auxia.io/ja

最新メソッド4:欠品対策に。実店舗の何気ないスタッフの気遣いがECには足りていない

現状はアパレルECに限ったサービスであることに注意が必要ですが、ご紹介させてください。

「気に入ったのに、サイズがない」「欲しいカラーが在庫切れ」──ECサイトでよくあるこの状況は、購入機会の損失そのものです。せっかく購入意欲が高まったユーザーが、在庫切れの表示を見て離脱してしまいそれっきり。もしこれが実店舗なら、店員がすかさず「この形に似たこちらの商品はどうですか?」と類似の商品を案内してくれるでしょう。それなのに、ECではレコメンドが存在しない。これこそが、ECの“ホスピタリティ欠如”による売上損失なのです。

この“在庫切れ離脱”という課題に真正面から取り組んでいるのが、メイキップ社の「aunn類似在庫※2」です。aunn類似在庫は、メイキップ社が培ってきたサイズレコメンド技術と、商品属性の類似解析アルゴリズムを活かした、EC上でのスタッフ提案ツール。ユーザーが閲覧している商品の在庫がなかった場合に、即座に「似たサイズ感」「近いシルエット」「同系色」の商品を自動でレコメンドしてくれるのです。

たとえば、ユーザーがMサイズのブルーシャツを探しているが在庫が切れている場合、aunn類似在庫は過去の購買・閲覧履歴やサイズ情報をもとに、「同じ肩幅・身幅のストライプシャツ」、「やや細身のシルエットで色味が近い別ブランド」などを瞬時に提示。ユーザーに「この商品でも良いかも」と思わせるきっかけを作り、在庫切れによるCVR低下を防ぐのです。

実店舗での購買体験を思い出してください。気に入った商品がなかったとしても、店員が「こちらの新作も近いテイストですよ」と差し出してくれる。その“ちょっとした接客”が購買意欲を再び刺激し、結果的に売上につながる。aunn類似在庫は、まさにその実店舗のホスピタリティをECに持ち込んだツールなのです。

アパレル企業として有名なセキミキでは1000万円近くの増収につながったそうです。(※) “在庫がないからこそ、提案で売上を生む”aunn類似在庫は、そんな新しいECの在り方を体現しています。現在はアパレルECのみでの提供ですが、在庫連携とレコメンドにより他業界向けへの展開も行われていく未来に期待したいですね。 

 

※1 aunn類似在庫プレスリリース 
2 出典: 繊研新聞「《EC担当者を訪ねて》セキミキ・グループ 嶋内一紀さん パーソナライズで売り上げアップ

裏技5:「購入完了=終わり」ではなく、「購入完了=クロスセルの機会」へ

購入が完了した瞬間──ユーザーにとっては“買ったぞ!”と満足感が高まる瞬間です。このタイミングはまさに、”次も買いたい”、”関連商品を探したい”という意欲が最も高い瞬間ともされています。実はこの「トランザクション直後」の導線を活用することで、売上・利益をさらに改善できるのです。

Eコマースにおける「購入の瞬間」に特化した広告テクノロジー企業Rokt※では、この概念を「Transaction Moment™」と呼び、決済完了→サンキューページの瞬間に広告やレコメンドを表示する仕組みを提供しています。 例えば、決済後のサンキューページに「この商品をご購入の方はこちらも◎」「次回割引クーポン」「今だけ限定アップセル」などを表示することで、追加購入やクロスセルが促進できるのです。

実際にRokt導入企業ではCTR4.03%、コンバージョン率6.32%向上という実績も報告されています。 「EC 売上向上」「EC 利益改善」を実現するには、新規集客だけでなく、購入完了の“その先”にこそ、新しい収益のチャンス他あるのです。

今回紹介した5つのメソッドは、どれも「EC 売上を伸ばす」「CVRを改善する」「利益を守る」ための即効性の高いアプローチです。LLMOAIなどさまざまなテクノロジーが急速に発展している現状において、人が頑張るのではなく、テクノロジーを活用した仕組みの再構築が必要になっています。ぜひ参考にしてみてください。

 

※ Rokt:https://www.rokt.com/jp
CVRは「流入数」と「決済承認率」で決まる。購入直前の離脱を防ぎ、CACを削減する方法

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【NCV × YTGATE 対談】決済承認率改善は次の成長テーマか?NCVとYTGATEが見るECの未来

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