業界で起きている変化:「3DS必須化」とカード会社の承認基準の変化
この「売上のボトルネック」は、業界構造の変化とも深く関係しています。近年、クレジットカードの不正利用が増加傾向にあることを背景に、各カード会社はオーソリゼーション(決済承認)の基準を以前よりも厳格化しています。特に、「3Dセキュア」と呼ばれる本人認証技術の導入が進む中で、カード会社とEC事業者(加盟店)の“責任分担”の構図も変化しました。
これまで、不正利用による被害は主にEC事業者側が負担してきました。しかし、3Dセキュアの導入により、一定条件下ではカード会社側がその責任を一部負うようになったことで、カード会社が承認基準を従来より慎重に運用する傾向が強まっています。
その結果、以前であれば問題なく承認されていた取引が否認されるケースが増加しています。しかも、それらは「不正利用」ではない、正当な取引であっても例外ではありません。このような状況下で、EC事業者が意図せず「承認されにくい加盟店」と見なされているケースが実際に発生しており、事業者本人がそれに気づいていないことが、より大きな損失につながっています。

出典:日本クレジット協会( https://www.j-credit.or.jp/information/statistics/#damage )